メンターと老害の本質的な違い

 このように挙げてみると、メンターと老害の違いは、自分と相手との意見の違いに遭遇した時に、その違いを単に「違うということだな」と、そのまま受け入れられる人はメンターであり続けられます。

 ですが、それを受け入れられず、「どうして自分の意見が受け入れられないのか」と、感情的な言動を起こしてしまう場合に、それが老害行為とみなされるのではないでしょうか。

【図表】老害の構成軸。年齢だけでなく、さまざまな要素が老害となりうる。
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 では、どうしてそこまで自分の意見と相手の意見との「違い」に執着してしまうのかというと、そのような人は「違い」に他意を含ませてしまっているからです。

 つまり、「私の意見とあなたの意見は違うね」で終わらせることができず、「どちらが優れた意見か決着をつけよう」「どちらが正しい意見か白黒つけよう」といったように優劣や正誤の意味を「違い」に自分で勝手に付け足してしまうのです。

 だから自分の意見が通るか通らないかにこだわり、自分の意見が採用されないと、「自分の意見が劣っていると認定された」「自分の意見が間違っていると認定された」と、感情的になってしまうのだと思います。実際には「違い」は「違うというだけ」です。

「今回の議題には自分の意見はフィットしなかったんだな」というように、意見の違いは「違う」というだけで優劣や正誤の意味はない、と認識する習慣付けをしていただくだけでも「心や舌が乱れる」機会が大きく減少すると思います。(続く)

前田 康二郎(まえだ・こうじろう)
流創株式会社代表取締役
 1973年生まれ。エイベックスなど数社で管理業務全般に従事し、サニーサイドアップでは経理部長として株式上場を達成。その後、中国・深圳での駐在業務の後、独立。現在は利益改善、コンプライアンス改善、社風改善の社員研修、コンサルティング、講演、執筆活動などを行っている。
 著書に『メンターになる人、老害になる人』(クロスメディア・パブリッシング)、『図で考えると会社は良くなる』(同)、『社長になる人のための経理とお金のキホン』(日本経済新聞出版)、『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』(同)ほか多数。・Podcast番組「THE VENTURE ~ベンチャーで成功するための101のマインドセット~」パーソナリティ・流創株式会社