女神の小便から生まれた神

 残る三つの宮もご利益がいっぱいなので、ゆっくり回ろう。まずは、本宮の脇の石段を登ったところにある上之水神宮。こちらには水の女神である水波売神(ミズハノメノカミ)が祀られている。伊邪那美命が火の神、加具土命を産んで産道にやけどを負った際、あまりの熱さと痛みで思わず失禁した。その際の小便から生まれたのがこの水波売神である。

 日本の国土を産んだ母なる女神の小便から生まれたのが美しい水の女神。古事記の発想は実に面白い。石段を下りたところには池があり、その奥に下之水神宮がある。こちらも同じく水波売神が祀られ、滝も流れ落ちている。水は人の暮らしに欠かせないもので、この場所が水源であったため、これほどの聖地として信仰されるようになったのだろう。ちなみにこの池のほとりに鎮座する眼光鋭い狛犬が、わたしのお気に入りアイテムである。

 最後の宮は七福神を祀っている。鎌倉にも七福神巡りのコースはあるが、けっこうたくさん歩かなければコンプリートできない。しかしここに来れば、一度に七柱の福の神にお参りできてお得である。

佐助稲荷にある白キツネの置物 写真/tokiiro/イメージマート

 この神社にはかくもご利益スポットが多いのだが、さらなる運気上昇を求める方には、少し足を伸ばしたところにある佐助稲荷神社もお勧めだ。源頼朝は若いころ佐殿(すけどの)と呼ばれており、その佐殿を助けたことから佐助稲荷という名がついたと言われる。頼朝はその後、征夷大将軍にまで上り詰めたので、出世稲荷として人気を集めている。銭洗弁財天で金運上昇、佐助稲荷で出世をお願いしておけば、充実した2025年になりそうだ。