「個人情報漏洩」が「公益通報」
2024年11月の兵庫県知事選では「10代20代の7割が斎藤候補を支持」という分析が報道されています。
また、そうした若年層への働きかけなどに、「チームさいとう」なる素人SNS集団が役割を果たしたことも報じられています。
ここで明らかになっているのは単なる公選法違反のオンパレード、やがて検挙されれば沙汰やみになる小悪事、嫌がらせの類でしかありません。
しかし、それは司法がまともに機能していれば、という話。
斎藤知事は今現在、一部の兵庫県職員や、今回の問題で命を落とされた方、その関係者の写真や実名などが挙げられて誹謗中傷される状況を、記者会見で問われても、ただちに「やめてください」とは決して答えないのです。
一部ユーチューバーなどとは面識もあり、理解した上でヘイトを自派の追い風に使っている。
ここまで邪な行動に開き直る政治屋は、今日なかなか目にしません。
安倍晋三政権期の「桜を見る会」答弁なども相当なものでしたが、でも安倍答弁はまだ「政治家の発言」の範疇に入っていました。
斎藤知事はその範囲にはない。
記者会見で「なぜ3月の告発文書では直ちに処分を下し、井ノ本知明総務部長による個人情報漏洩には刑事告発などしないのですか?」といった質問「すべて」に「いずれにいたしましても、第三者委員会・・・」と、正味壊れたテープレコーダーです。
その場さえ行き過ぎれば後はどうでもよいという割り切り方。これはロスジェネ以前の政治家が持ち合わせない「鈍感力」かもしれません。
最も驚嘆したのは、斎藤知事が亡くなった県民局長を誹謗中傷するデマを「公益通報だと指摘する意見もありますから・・・」と評していた点です。
菅野完氏によれば、そのような表現は彼が調べる限り「二馬力選挙」のパートナー、立花孝志元候補周辺以外、誰も発言していないとのこと。
こうしたネガティブ・キャンペーンによる選挙で、どうしても想起せざるを得ないのが、1933年3月5日、ナチス党がドイツ国会を掌握した総選挙のケースです。
ナチスではこの時期「突撃隊」SAという組織が様々な破壊活動を実施、特に3月5日の総選挙に当たっては、直前の2月27日に発生した「国会議事堂放火事件」がナチスにより、政敵へのネガティブ・キャンペーンに最大限利用されました。
結果、ナチス党は大躍進、ほどなくヒトラー独裁体制が確立され、「国会議事堂放火事件」の犯人とされた人物は、事後に「改正」された刑法により絞首刑に処せられるなど、ナチス無軌道の端緒となったわけです。
これと本当によく似ていると思うのです。「チームさいとう」に集まる若者やネット上の不満層と「ナチス突撃隊」、あるいは「国会議事堂放火事件」のスキャンダル化と、「元県民局長文書問題」のスキャンダル化、政治利用。
絵に描いたようなファッショの進行に言葉もありません。
これらに通底する背景として20世紀のナチスドイツと、21世紀の日本・兵庫県に共通する「失われた20年、30年」と「低リテラシー若年有権者へのマインドコントロール」のリスクを指摘して、1年の締めくくりにしたいと思います。