中国への姿勢、日米間の温度差が顕著に

 記者の一人が、思い余ったように、トランプ米政権の発足と日中関係について質した。すると、岩屋外相はこう答えた。

「トランプ政権の発足については、本日の会談の主たる話題ではありませんでしたが、やはり米中両国の関係の安定は、国際社会全体にとっても大事だということを申し上げました。我が国としても、米国の同盟国として、また中国の隣国として、そういう関係を構築していただけるように汗をかきたいというふうに思っているところでございます」

 コルビー次期国防次官すなわちトランプ新政権と、岩屋外相すなわち石破政権との、この中国への認識に対する「温度差」はどうだろう?

 そもそも岩屋外相は、同盟国アメリカのマルコ・ルビオ次期国務長官とは、いまだ一面識もない。本人も、昨年11月19日の会見でそのことを認めているし、「早い機会にお目にかかりたい」とも答えている。

 それならばなぜ、トランプ新政権の発足を待って、先にワシントンを訪問し、トランプ新政権の意向を踏まえて北京へ行くという段取りにしなかったのか? トランプ新政権の発足直前に抜け駆けするかのような岩屋外相の訪中を、トランプ新政権の面々が歓迎するとでも思うのか?

 2025年の米中関係が不安だが、日米関係もまた思いやられるのである。