中国については、こんな見方をしている。

「中国は『マフィアのボス』みたいなものです。映画『ゴッドファーザー』におけるヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)のように、奥の席に座っていて、自分自身の手は汚していません。(中略)ロシアを助け、イランを助け、北朝鮮を助けて、しかもそのような悪さを察知されない状態です」(142ページ~144ページ)

「中国にとっての最適な戦略は、平和的手段を用いてわれわれの同盟を破壊することです。なぜなら、その方がリスクが少ないからであり、コストがかからないからです。中国は1941年のヒトラーのように、わざわざアメリカ軍を敵に回してまで同盟側と戦う必要はありません。むしろ、少しずつ同盟を崩壊させることを望んでいます」(47ページ)

日本の防衛費、GDPの2%は「まるでジョーク」

 そして、アメリカの同盟国である日本には、「中国の覇権拒否」のために、こんな要求を述べている。

「今後の防衛モデルには、自国の防衛を主体的かつ積極的に遂行でき、アメリカと対等に活動できる日本が必要なのです。(中略)日本は米国とほぼ同等の役割を果たし、全プロセスにおいて日米の防衛部門が完全に統合されることが望ましいでしょう」(189ページ~190ページ)

「私の見解では、日本の防衛費をGDP比3%にすることが望ましいと思っています。(中略)また、中国とのいわゆる『デカップリング』を考えると、中国への工業生産への依存度が高いことは望ましくない。政府の主導で国内生産を再開する必要があります」(197ページ)

「日本の岸田首相は『2027年までに防衛費をGDPの2%にする』と言っていますが、この言葉がジョークにしか受け取られないほど、中国のミサイル備蓄量は大量になっているのです。(中略)たったこれだけしか軍備の増強をせずに、中国に『日本に手出しをするな』と説得できるとは私には思えません」(202ページ)

 中国軍が危ない、自衛隊をアメリカ軍と早く一体化させよ、防衛費をGDPの3%にせよ……これが「トランプ新政権の声」なのだ。