トルコはシリア難民に悩まされていた

青山:トルコにとって、シリア難民の増加とシリア北部のクルド民族主義者主体の武装組織「シリア民主軍」が悩みの種でした。

 前者については、シリア難民増加による治安の悪化、経済的な負担を抱えていました。アサド政権が崩壊したことで、すでに数千人ものシリア難民がシリアに帰国し、エルドアン大統領は胸をなで下ろしているでしょう。

トルコからシリアへ帰還するため国境付近で待つシリア難民(写真:ロイター/アフロ)

 シリア民主軍はトルコにしてみれば、体制を脅かすテロリストに他なりません。シャーム解放機構のシリア軍攻撃に乗じて、トルコが支援するシリア国民軍がシリア民主軍を一掃しました。

 また、新政権の鍵を握るシャーム解放機構にしてみても、トルコとの縁を切ることはできません。2011年のシリア内戦を機に本格化した西側の経済制裁を受け、シリアでは食料品や日用品などの生活必需品をはじめ、建設資材などもトルコから供給されています。

──経済制裁でシリア経済はどれほどダメージを受けているのでしょうか。