4.戦争抑止の要素
通信手段の発達による相互交流促進
日米中3国間の相互理解を促進するもう一つの要因は通信手段の進歩である。
コロナ前は国を越える通信手段は主にメールや電話に頼っていた。コロナ期間中のリモートワークの必要性の高まりを背景に、ビデオ会話の利便性が格段に向上し、世界中に普及した。
人数が多くなるとコミュニケーションの利便性は低下するが、2人、あるいは数人までの少人数であれば、直接会って話し合うのとほぼ同じような感覚でコミュニケーションをすることが可能となった。
これが相互交流、相互理解を促進する重要な手段となっている。
特に、SNS、インターネット等の通信手段を日常的に巧みに使いこなすZ世代の若者たちの相互交流はさらに円滑である。
米国に留学した中国人が帰国後も米国にいる友人と頻繁に交流することは誰も止められない状況になっている。
これが両国間の相互理解を促さないはずがない。
2050年には1990年生まれの若者が60歳になり、世界中でZ世代が主役の時代が到来する。
その時代には国を越える相互理解が現在とは比較にならないほど深まっていると考えられる。
国民各層各分野で多くの親しい友人関係が存在する国の間で戦争をすることは極めて難しい。
自分の親友が戦争の犠牲になることなど受け入れられるはずがない。
今後の世界においては、核兵器大量保有による核の抑止力に加えて、多数の国民レベルでの相互理解、相互信頼が新たな抑止力として機能する時代になることが期待できる。
その典型的な事例が日米中3国関係であることが今世紀半ばには明らかになるはずである。