「市民5ドル、外国人30ドル」?
二重価格の設定で大きな議論を呼んだのは、「白鷺城」(しらさきじょう)の愛称で知られる兵庫県姫路市の国宝・姫路城です。日本初の世界文化遺産であり、外国人の間でも知名度は抜群。2023年度の外国人入場者は前年度の5倍、約45万人に達しました。入場者全体の3割が外国人なのです。
こうした状況を前にして、城を管理する姫路市の清元秀泰市長は2024年6月の国際会議で、「7ドルで入れる世界遺産は姫路城だけ。外国の人は30ドル払っていただいて、市民は5ドルぐらいにしたい」と発言しました。18歳以上の入場料は現在、1000円。30ドル=約4500円ですから、外国人にとっては4.5倍に跳ね上がる計算です。
仮に値上げが実現したら、それを原資として姫路城の保存や周辺の環境整備に充てたい考えですが、このころから二重価格に関する議論が一気に広がりました。姫路市長の発言を受け、大阪市の横山英幸市長は「有効な手の一つだ」と語り、大阪城でも同様な設定ができないか検討する姿勢を示しました。
大阪・関西万博2025年に控える大阪府の吉村洋文知事も府内で宿泊する外国人観光客に課す「徴収金」の検討に乗り出しています。既存の宿泊税とは別の制度で、観光資源の保護や街路の美化といったオーバーツーリズム対策に充てる考えです。実現すれば全国初。1人100〜300円を想定しているといい、100円で10億円程度の収入になるとみられています。
公共施設だけではありません。外国人が多く訪れる都会や有名観光地の飲食店では、外国人料金を設定する店も増えてきました。外国語によるメニューの作成や接客でコストがかさむためなどの理由が大半。もちろん、商機を逃さないために収益増を図る目的で外国人価格を導入する店もあるようです。
では、二重価格の浸透を日本人はどう捉えているのでしょうか。