女性議員はフルメイクでスタンバイしていた

 非常戒厳が宣言された後、韓国の国会議員はわずか1時間も経たないうちに国会に集まった。この過程で物理的な衝突はなかったが、多くの国会議員がどのようにして一度に集まったのかは疑問も残る。

 緊迫した状況だったにもかかわらず、国会に集まった議員はきちんとしたスーツ姿で、女性政治家はフルメイク状態だった。

 しかも、明け方には、尹大統領の退陣と非常戒厳の撤廃を求める印刷物が配布された。北朝鮮のスパイ嫌疑のある民主労総など従北思想を持つ市民団体も一糸乱れずデモを準備していた。

 そうして共に民主党とその支持団体は、今回の戒厳令を「国家の危機、憲政の破壊」とし、緊迫したムードを作り上げたのだ。

 マスコミの対応も早かった。尹大統領が非常戒厳を宣言した後、マスコミは非常戒厳に関する緊急特集を編成した。ネットでは、社会不安と恐怖心を煽るためか、真偽不明の偽ニュースが流された。それは、朴槿恵元大統領の退陣要求や反日不買運動当時を彷彿させるものだった。

 ある統計によると、非常戒厳宣言の解除後、インターネットを通じて配布されたフェイクニュースは2万件を超えた。その大多数は根拠のないデマと判明している。

 非常戒厳が解除された後、テレビ局などのメディアは尹錫悦氏に対する大統領という呼称を使うのをやめ、共に民主党や市民団体の主張を流し始めている。

 今回の非常戒厳を巡る混乱では、韓国内で最も深刻な問題と言われている全羅道(チョンラド)カルテルの暗躍も目立った。全羅道は、選挙の時になると民主党の得票率が90%を超える地域である。