クレジットカードの取引状況や各種ローンの返済状況などから個人の信用力を数値で示す「信用スコア」の運用が、2024年11月末から始まりました。国の指定機関である株式会社シー・アイ・シーによるサービスで、利用者が希望すれば最高800点のスコアが有料で提供されます。信用スコアは中国で広がり、日本でも金融会社が同種事業に乗り出したことがありますが、国指定の機関によるサービス開始は初めてです。いったい、どんな制度なのでしょうか。「信用スコア」をやさしく解説します。
800社・8億件の情報から個人の信用度を数値化
クレジットカードやローンなどの「借りすぎ」「使いすぎ」を防ぐ目的で、日本では2016 年に貸金業法が完全施行され、個人の借入総額を年収の3分の1程度に抑える「総量規制」が導入されました。それに伴って導入されたのが指定信用情報機関制度で、指定は総理大臣によって行われます。
指定された機関は、数多くの金融業者の情報を集め、個人の信用情報を一元管理。金融業者は新たなローンの申し込みを受けると、その個人の信用情報をこれら機関に照会し、利用を認めるかどうかを判断しています。
これとは別に、割賦販売法に基づいて経済産業大臣が指定する信用情報機関もあります。その役割は貸金業法に基づく場合と大差はありません。
日本で活動中の指定信用情報機関は、3つあります。
1つは「株式会社日本信用情報機構(JICC)」です。消費者金融業者を中心に銀行やクレジット業者など約1300社が加盟。信用情報機関の中では最も加盟社数が多いとされています。
2つ目は、社団法人の全国銀行協会が設置している「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」。ここには銀行や信用金庫、信用組合、農協・漁協など約1000の金融機関が加盟しています。世界的規模のメガバンクから地域の小さな金融機関までが加盟していますが、消費者金融業者やクレジット業者は加盟していません。
そして3つ目が今回、信用スコアのサービスを始めた「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」です。
CICには多種多様な業界が加盟しています。住宅や自動車などの信販会社、百貨店やスーパー、専門店会系などのクレジット会社、銀行系クレジット会社、家電量販店系クレジット会社、リース会社、生命保険・損害保険会社、保証会社、銀行、消費者金融業者、携帯電話会社……。2024年12月時点で加盟は802社を数えます。
加盟数そのものは他の2機関より少ないものの、多種多様な業者が集まっているため、情報量は全国一。総計では約7億9000万件の情報を保有し、加盟社による照会も毎月2500万件程度に達しています。
この膨大な情報を個人単位でスコア化したものが「信用スコア」です。では、CICの信用スコア制度は、実際にはどうなっているのでしょうか。