中国では学歴やSNSの交友関係までスコアに反映

 信用スコアとしてよく知られているのは、中国の「芝麻信用」(セサミ・クレジット)です。電子商取引では世界有数のアリババグループ(浙江省杭州市)の関連会社によるサービスで、2015年に始まりました。

中国の信用スコアサービス「芝麻信用」=2020年撮影(写真:新華社/共同通信イメージズ)

 芝麻信用の特徴は金融取引情報だけでなく、モバイル決済や公共料金の支払い履歴、年齢や学歴、職歴といった利用者の属性情報、不動産や自動車などの資産なども算出に用いられる点にあります。さらには、SNSなどを通じた利用者の交友関係もスコアに反映されるとされています。

 スコアはトップランクの「700~950」(極めて優秀)から「350~550」(やや劣る)まで5段階。それぞれのスコアによって、アリババグループの商取引において「各種の割引」「提携施設の優遇」「金利優遇」「後払い可能」といった数々の特典を受けることができます。

 これらの優遇措置を受けるための基準スコアが公開されており、利用者は特典を受けるため条件に沿った消費行動を取るようになったとも言われました。さらに、若い男女が交際を始める際にも、この信用スコアがものをいう場面があるとされています。

 日本では2017年、金融業のジェイスコアが初めて信用スコアのサービス「AIスコア」に着手しました。このサービスでは、利用者本人の同意を得たうえで、学歴や年収、趣味、生活習慣、お金への考え方などを基にしてAIがスコアを算出。最高を1000点とし、融資の事前審査などに使う仕組みです。

 利用者は100万人を超えていましたが、事業譲渡などにより、2023年にサービスは終了しています。

 そうした点から考えると、CICが開始した信用スコアは、この分野では日本初の本格的なサービスと言えるかもしれません。海外では、米国の「FICO(ファイコ)」という有名なスコアがあります。融資だけなく、携帯電話や賃貸不動産の契約などの場面で日常的に広く使われ、社会に浸透しています。日本でもいよいよ、そうした時代がやってくるのでしょうか。

フロントラインプレス
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