(つげ のり子:放送作家、皇室ライター)
大学院に進学せず日本赤十字社に就職する道を選ばれた背景
2024年12月1日、愛子さまが23歳のお誕生日を迎えられた。
思い返せば、今年1月22日の夕方、愛子さまが大学卒業後に、日本赤十字社の嘱託職員として勤務されるとのニュースが報じられ、正直、驚きを禁じ得なかった。筆者は、大学院にそのまま進学されるものと心から信じていたので、第一報を耳にした時には、何かの間違いではないかと思ってしまった。
かつての天皇陛下がそうであったように、留学をして日本を離れ、人生で唯一となるであろう、完全に自由な時間を満喫していただきたいとの思いもあった。愛子さまが学生時代に没頭されていた、日本の古典文学の研究に打ち込んで、教養を高めるという道もあったはずだ。
しかし、愛子さまは世間で言うところのモラトリアムを享受しようとは思っていらっしゃらなかったのだろう。むしろ、自らが担う皇室の内親王としての役割を、その小さな肩に背負われようと人生最大の決断をされたのである。
その背景にあったのは、成年に当たってのご感想でつづられていた、この言葉だった。
「これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております。そして、日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います」
愛子さまは、成年になった時から両陛下を支えつつ、世の人々に役立ちたいと、ずっと思い続けてこられたのだ。
これまで記者会見や文書回答の中に、未来に向かって歩みだす愛子さまのさまざまな抱負が述べられていたが、この一年でどんな手ごたえをつかまれたのか。愛子さまの確かな成長を感じさせるエピソードをピックアップし、23歳となる愛子さまの現在地を探ってみた。