能登半島地震を受けてつづられた「国民に寄せる献身の気持ち」
今年1月1日に発生した能登半島地震は、広範囲にわたって甚大な被害をもたらした。これを受けて翌日の新年一般参賀は取りやめに。愛子さまの社会人一年目となる新年の幕開けは、多くの被災者へ配慮し、心を寄せる機会となられた。
振り返れば、愛子さまの被災地と被災した人たちへ心を寄せられるお気持ちは、この時に生まれたものではない。
「上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽をともにしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると、私は認識しております。『国民と苦楽をともにする』ということの一つには、皇室の皆さまの御活動を拝見しておりますと、『被災地に心を寄せ続ける』ということであるように思われます」(成年の記者会見)
遠方に暮らす家族が帰省し、久しぶりに懐かしい笑顔が並ぶお正月。よりにもよって、そのだんらんの日に襲った震災は、能登の人々を奈落の底に叩き込んだことだろう。愛子さまは、そんな人々の苦境をわがことのように感じられたはずだ。
春には社会人となる節目の年、その年の初めに、まさに愛子さまの「国民に寄せる献身の気持ち」を自らに問いかける沈痛な出来事となられたのではないだろうか。
就職に当たっての文書回答では、冒頭から能登半島地震に関してお見舞いの言葉を述べ、今年4月、就職された日本赤十字社を選んだ理由として、愛子さまは以下のようにつづられている。
〈大学では福祉に関する授業を履修し、福祉活動への関心が増す中で、公務以外でも、さまざまな困難を抱えている方の力になれる仕事ができればと考えるようになり、大学卒業後は社会に出て、福祉関係の仕事に就きたいという思いを抱くようになりました。
そのような時期に、両陛下と御一緒に、日本赤十字社からの御進講を受ける機会を頂き、また、関東大震災から100年の節目に日赤本社にて開催された企画展を見に伺うこともできました。展示や説明を通して、国内外の災害救護活動や人道危機に対する救援活動、社会福祉事業を始め、多種多様な日赤の活動について理解を深めると同時に、同社の社会における役割の大きさを実感いたしました〉(就職にあたっての文書回答)
愛子さまは、社会に直接的に貢献できる日赤の活動を通じて、社会に役立つことを行っていきたいと考えたのが就職された主な動機だったようだ。