オフィスにはいくつかの作業室があった。戦場で使うカモフラージュ作り、ドローンの組み立て、支援物資の保管室、軍服づくりをする裁縫室、そして事務室などである。

戦車などを覆うカモフラージュを作るスタッフ(筆者撮影)
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ヴェテランカではドローンの組み立ても行っている(筆者撮影)
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「女性団体」と聞いていたので、女性の役割の重要性、現場で女性が働くことの難しさなどを強調されるのかな、と思った。しかし、スタッフからはそのような発言はほとんど聞かれなかった。スタッフたちは皆一様に口をそろえて言ったのは、次のようなことだった。

「10年続く戦争によって軍務につく女性が急速に増えた。しかし、状況や制度がこれに全く追いついていない。問題のほとんどは制度にある」

ニーズが高い女性用の軍服

 ヴェテランカが現在、積極的に取り組んでいるのは、女性用の軍服を作ることだという。

ヴェテランカの裁縫室(筆者撮影)
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 2023年8月にウクライナでは女性の軍人向けの服装規定が制定された。それまで、女性軍人について何の規定もなく、軍服などは男性と同じものが支給されていたという。

 実際に軍服を作っている人に、「具体的に女性用は既存のものと何が違うのか?」と聞いてみた。すると「フィット感だ」と言う。

裁縫室で働く女性(筆者撮影)
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 戦地では当然ながら厳しい環境の中で任務に就くことが多い。動きやすさ、快適性のために適正なサイズが求められる。冬季は寒さが厳しく、夏場は日差しが強く熱い。夏は蒸れにくく、乾きやすい、冬場は保温性の高い服が必要となる。