フジテレビは日本シリーズの第3戦の中継を担当したが、この日だけは、その直前の時間帯でワールドシリーズの再放送をした。

 筆者は、例年通りワールドシリーズはNHK BSで視聴した。昨今の民放地上波のスポーツ放送はタレントがしゃしゃり出るなど見られたものではなかったからだが、合間に見たフジの中継は、予想以上に真面目でわかりやすかった。「大谷翔平」という圧倒的なスターが目の前で躍動するのだ。ごてごてした余計な味付けは不要だと、ようやく悟ったのだろう。

NPBの怒り、所詮は「業界内」の話ではないのか

 しかしフジテレビに対するNPBの「怒り」は、本当だった。

NPBの榊原定征コミッショナー(写真:共同通信社)
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 11月12日付のデイリースポーツ(Web版)によればNPB井原敦事務局長は日本シリーズのフジテレビに対して「信頼関係が著しく毀損されたという認識」があって取材証を没収したと話した。

「12球団を通して、日本シリーズというのはプロ野球にとって最大の価値があるもの。日本シリーズは一番上のものとして、ペナントレースも成立しているという位置づけであり、日本シリーズは、テレビ局、スポンサー(SMBC)、12球団すべてのプロ野球関係者、野球機構を含めて協力体制のもと行われている。今回のフジテレビの編成は、その協力体制を損なう、危うくするような状況だったということは12球団とも認識している」

 としたうえで、

「必要なことは日本シリーズの中継の価値の最大化を図るということ。放送局、スポンサー、12球団、機構、4者の協力体制をしっかり固めて行くことが必要なので、フジテレビとは一度話し合いをしたいと考えている」

 と述べている。

 その怒りはわからないではないが、それはあくまで「業界内の話」ではないかと思う。