2024年10月30日、ワールドシリーズ第5戦、ドジャース大逆転のきっかけとなったアーロン・ジャッジの落球シーン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)2024年10月30日、ワールドシリーズ第5戦、ドジャース大逆転のきっかけとなったアーロン・ジャッジの落球シーン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 米野球のワールドシリーズが終わり、毎朝が空虚になってしまった。

 大リーグの試合があったこの半年間、ほぼ毎朝、大谷翔平がホームランを打つか(打ったか)、試合に勝つか(勝ったか)が楽しみだったのである。

 テレビが連日煽ったとはいえ、たったひとりで、大げさにいえば、日本全国のファンに毎朝の楽しみを与えてくれた大谷は、大した男である。

「大谷ロス」というのではないが、毎朝の試合がなくなり、なんだか物足りないのだ。この楽しみをまた得るためには、来年4月(3月?)の開幕まで、待たねばならない。

 ドジャースの優勝が決まった試合を、わたしはリアルタイムでは見ていない。0-5になったとき、今日は負けだなと思い、外出したのである。

 だからドジャースの大逆転劇のきっかけになった、アーロン・ジャッジのまさかの落球も見ていない。

※アーロン・ジャッジが落球したシーンの動画は記事最終ページにあり

 夕方、帰宅してから、ドジャースの大逆転勝利を知ったのである。気が抜けてしまった。逆に、こんな大事な勝ち試合で、なんでもない凡フライを落球したジャッジは、死ぬほどつらかろうと思った。

 事実、ジャッジは試合後、「ドジャースのような相手にミスが続けばそれを利用されるだけ。死ぬまで忘れない」と語った。

好漢ジャッジの誠実さが表れたインタビュー

 シーズン中、日本のテレビがまるで自分の手柄のように、連日、大谷翔平のホームラン数を報じ、どうだとばかりに、これで2位と何本差です、と付言した。

 それはそれでいいのだが、ジャッジとは何本差なんだ? それもいえよ、と思った。わたしはナショナル・リーグだけでなく、両リーグでの1位が気になっていたのである。

 しかし、大谷のホームランに水を差すようなことはいえないのだろう。それで調べて見ると、ジャッジは大谷より10本も多く打っていたりしていたのだった。

アーロン・ジャッジは2024年9月26日、58本目のホームランを打ち、アメリカン・リーグのホームラン王となった(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)アーロン・ジャッジは2024年9月26日、58本目のホームランを打ち、アメリカン・リーグのホームラン王となった(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)