熊の出没が相次ぐ要因はどこにあるのか?
私たちマタギは決して熊をたくさん獲りたいわけではない。山で暮らすことの延長に、熊を授かることがあるというだけだ。それに対し、誰かに何かを言われる筋合いはそもそもないと思っている。
国が決めたルールに則って狩猟を行っている以上、そして地域において重要な役割を果たしている以上、感謝はされても非難されることは一切ない。
私たちが注視すべきことは、この熊の出没があとをたたない要因がどこにあるのか、熊が里に降りてこないために人がすべきことは何かということを、目先のメディアの報道にとらわれることなく、一人ひとりが今一度考えることだと思う。
世界的な気候変動が叫ばれる中、まずは日本という自然豊かな国が直面している自然環境の異変と向き合うこと。その恩恵を絶えず受けながら生きているという自覚を決して忘れてはいけない。
人間本位に環境を作り替えてしまった代償を我々は真摯に受け止め、人と野生鳥獣のどちらにとっても暮らしやすい環境作りを考えなければ、より人口が減っていくであろう山間部の暮らしは成り立たなくなる。
山は人間のための資源ではない。マタギが大切にしてきた「授かる」という意識で山に向き合えば自ずとその態度は決まってくるはずだ。







