節税手段としての特典もはく奪された

 では相続税の節税で購入する需要はどうなるだろうか。

 これは利上げや円高とは直接関係しないが、今年1月の税制改正で、マンションの相続においてはタワマンであるとないとにかかわらず、相続評価額と実勢価格に1.67倍以上の差が生じている場合には一律、実勢価格に戻したうえでその60%の評価で取り扱うように改正された。

 タワマンは時価と評価額の乖離が大きく、とりわけ高層部の物件価格の高い部屋を買うほどその効果が大きくなる。つまり高ければ高いほど効果も高いという歪んだ構造を持っていた。

 ところが今回の改正ではどの階層であろうと60%評価となってしまったので、タワマン、しかも高層階を高い価格で買うという動機が薄れてしまったのである。
 
 今後見込まれる金利の引き上げは現在変動金利型住宅ローンでタワマンを買っている人にとっては支払額(とりわけ総返済額)の負担増による経済的破綻を招来するリスクを顕在化させた。

 また目先の金利上昇はこれから実需で購入を検討する人にとっても調達コストの増加は購入の先送りや断念につながる。

 投資家にとっても期待利回りのバーの上昇は、物件価格の下落がないかぎりとても手が付けられないレベルになっていることに気づくきっかけとなった。

 円高は外国人による投資の手を止めるだけでなく、いったんエグジットして投資を手仕舞いする動きを誘発する。

 節税手段としての特典もはく奪されたタワマンマーケットはどうやら曲がり角を迎えることとなりそうだ。今後の利上げ動向から目が離せない。