物件価格1億7700万円、希望賃料34万5000円でシミュレーション
売却希望価格は1億7700万円(坪単価:835万円)だ。住戸Aを取得して仮に賃貸に拠出した場合、どの程度の利回りが得られるのだろう。
幸いなことにサイト上には、同じタワマン内で賃借人募集を行っている住戸が、びっくりするくらいたくさん掲載されている。
この中から同等の条件の事例を取り出してみると、月額賃料(希望賃料)は34万5000円である。これは現在の売り出し価格(1億7700万円)だと表面利回りは2.34%だ。
実際には賃料をすべて懐に入れられるわけではなく、管理費や修繕積立金が差し引かれる。また固定資産税や都市計画税の負担も必要になるが、いずれにしても利回りとしては極めて低いと言わざるを得ない。
現在の不動産投資マーケットであれば期待利回りはグロスで4%は欲しいところだろう。これは賃料に直せば月額59万円になる。
実際の募集賃料が相場だとすれば、乖離は25万円にもなる。表現を変えるならば、ソフィスティケイトされた不動産投資家であれば、この高い物件にはまず手を出さないという結論になる。
現行賃料を基準に期待利回りである4%を確保できる買値は1億350万円だ。つまり買う側からみれば、こんな価格で買ってはいけないということになる。
不動産投資ローンの場合には住宅ローンのような低金利商品はなく、現行でも金利は3%から7%程度だ。期待利回りは4%でも全く「利(理)に合わない」のである。
つまり価格が跳ね上がってしまったマーケットで新たに資金を調達して投資をする意味がほぼ全くなくなってしまっていることに多くの投資家が気づくきっかけを作ってしまったのが今回の利上げアナウンスだったと言い換えることもできるだろう。