額に刻まれた「タイミー」のシール
それはタイミーに掲載された「未経験OK 荷物の仕分け作業」という仕事。時給は1300円、朝5時~8時までの3時間のスポットワークだった。
場所は都内の住宅地にある配送センター。その日に配達される荷物を、配達用の軽トラに積み込む前に、エリアごとに仕分ける作業だ。
まだ夜が明けない午前4時50分。配送センターの片隅にある従業員休憩所に、タイミーさんが20人ほど集まった。30~40代くらいのおじさん、おばさんがメインで、学生らしき若者が数名、シニアはいない。男女比は半々くらいだ。
どの人も部屋着にもならないようなボロTシャツと作業ズボン姿。胴回りに腰痛防止のベルトをガッチリ締めた中年男性もいる。
部屋の片隅のダンボールに、白いヘルメットが30個ほど積み上がっていた。額部分に「タイミー」とテプラのシールが貼ってある。タイミーさんは次々と白ヘルを取り、それぞれの持ち場に散らばっていく。リピーターばかりのようだ。
「今日初めての方はこちらに来てください」
運送会社のユニフォーム姿のおじさんに、持ち場へと案内された。コンクリートの倉庫内は「カゴ車」と呼ばれる、鉄格子の檻のようなケースが無数に転がり、ダンボールが無造作に積み込まれている。こうやって荷物は旅をしているのか……。
筆者がこの仕事に入ってみようと思ったのは、運送会社の配送センターで副業したという中高年男性によく出会うからである。
これまで聞いた話では、「朝活」として数時間働いてから本業に行く人や、リタイア後に早朝だけ働く人などがいた。IT系の会社を介護離職したというとある50代男性は、「朝だけの仕事なので、介護との両立にはちょうどいい」と話していた。
ただ、彼らはいずれもタイミーさんではなく、パートや派遣社員として働いていた。