最も望ましいのは交渉による民主化

 レジームチェンジを西側の政策のゴールにすることに警鐘を鳴らしていくと、受け入れがたいほど厳しい結論に至ってしまうかもしれない。

 イラン国民は圧政的な神権政治の下でずっと暮らしていかねばならないということだ。

 それはさすがに悲観的すぎる。問題はイランでレジームチェンジが起きるべきか否かではなく、どのように起きるべきかだ。

 イラン国民と中東にとって最も望ましいのは、イラン・イスラム共和国が侵略や革命ではなく平和的な交渉を経て最終的に過去の遺物になることだ。

 ここ数十年ではポーランド、南アフリカ、チリといった国々で民主化への移行が大成功している。

 いずれも専制的な政権が――世代交代の波や国際政治の変化に押されて――政敵との交渉の席に着いた結果だった。

 イランでは神権政治の制度の内部で、改革派の政治家が常に活動してきた。

 だが、イスラエルと戦争になれば、強硬派の力が強くなるのは確実だ。

 イランは変わらなければならない。その変化をもたらす最適な手段は爆撃ではない。

By Gideon Rachman
 
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