映画評論家の北島純氏(社会構想大学院大学)はこのようにいっている(「真田広之『SHOGUN 将軍』はこう見るべし! エミー賞18冠の要因、楽しむためのポイント」北島純、日刊ゲンダイDIGITAL、2024/09/28)。

「この作品は、『サムライ』『ニンジャ』『ハラキリ』といった強調描写が残るものの、全体としては細心の注意をもって日本人蔑視、東洋趣味(オリエンタリズム)のにおいが払拭された上で、日本が「再発見」されるような鑑賞体験を提供している」

 この作品は、「The Making Of Shogun」が短編部門のノンフィクション/リアリティーシリーズ賞も受賞している。これはYouTubeで全8章(各章6~7分)を見ることができる。

 これを見ると日本人の時代劇スタッフや裏方を起用したり、徹底した物量作戦などの圧倒的なすさまじさに、これがテレビドラマなのかと驚嘆するのである。

 ちなみに真田広之は、40歳を過ぎての英語習得に苦労したことだろう。だが20年もやれば、かれのようになれるのだ。「Model」や「Novel」のような難しい発音の言葉を聞けば、かれの英語の見事さがわかる。

「アジアの勢いがあった」とは言うものの…

 北島氏はさらに、こうもいっている。

「SHOGUN 将軍」が高評価を得た背景には、近年映画の「パラサイト 半地下の家族」や「エブエブ」(エブリシング・エブリウエア・オール・アトワンス)がアカデミー賞を獲ったり、韓国ドラマの「イカゲーム」がエミー賞作品賞にノミネートされたりといった、「アジアの勢い」があった、と。

 たしかにそういう下地はあったかもしれない。しかし、「アジアの勢い」とは、韓国の勢いである。