監督1年目・岡崎慎司が持つ「勝敗への責任感」と「夢」

ドイツで始まった指導者生活について話す岡崎慎司氏。

—— 実際にFC BASARA MAINZの監督を務めてみて緊張などはありましたか?

 選手として試合に出場していた時と、同じくらいの緊張感を持って監督をしています。やっぱり、それが自分にとって全てなんですよね。
 
 試合中もずっとヒリヒリしながらサッカーを見ていて、監督として本腰を入れて見守っているからこそ、この緊張感を味わえるのかなと思います。
 
 選手たちにも僕が監督としてまず出来ることは「試合の結果に責任を持つこと」と伝えました。
 
 その上で、試合中の選手たちへの指示や交代、試合の前の1週間のトレーニングメニューを考えるなど、より具体的なアプローチに取り組んでいます。

 アマチュアチームということもあり、試合の1週間前といっても、実際に練習できるのは3日くらい。
 
 しかも選手全員が同じ動機でチームに参加しているわけではありません。

 例えばドイツ人の選手は本業があるなか趣味で熱くなる場所を求めてFC BASARA MAINZでサッカーをやっている人が多いのに対して、現在15人いる日本人選手はステップアップを目的にしている選手がほとんど。そこの切り替えが難しいんです。
 
 そこで、日本人の選手たちには、3日間の練習日以外にもトレーニングの時間をあげたり、特別にフィジカルトレーニングのメニューを組んで、選手が少しでも成長できるような環境を整えています。
 
 また、今はまだ趣味としてサッカーをやっているドイツ人の選手が多いですが、いつか夢を持ったドイツ人の選手たちも多く集まってきたら、彼らを日本に送りたいという夢もあります。
 
 黒田和生先生(元滝川第二高等学校サッカー部監督・岡崎さんの恩師)のようになれることを目指して、いろんな選手とこれからも関わっていきたいですね。

海外で日本人FWが生き残るのは難しい?

—— 今、FC BASARA MAINZでFWを務めている日本人選手は2人しかいませんが、日本人FWが海外で活躍するには難しい点があるのでしょうか?
 
 それは選手のタイプにもよると思います。
 
 外国人の選手は日本人に比べて体格が大きいし、足も速い。これはアマチュアだけでなくプロの世界でも同じことです。
 
 でも、試合中にブロックを組んで、前にプレスをかける戦術をやっても、外国人の選手たちは90分間やり続けることが出来ない。逆に日本人選手はそこが強い。
 
 なので、個人として強いドイツ人の選手は、守備が弱かったらトレーニングする必要があるし、逆に日本人の選手たちは、守備だけで満足していてもいけない。

 日本人と外国人の選手のどちらが強いかではなく、やはり試合での結果がすべてなんです。だからこそ、選手たちには結果を求めていきたいと思っています。(文・坂本遼佑)

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