もっとも許せないロボットの嘘とは

 米バージニア州にあるジョージメイソン大学の応用心理学・自律システム研究所に所属する研究者らが、興味深い実験を行っている。被験者にロボットが「欺瞞的行為」を行うというストーリーを読んでもらい、それについてどう思うか評価させたのである。

 彼らはオンライン上で、老若男女といった属性、ならびにロボットに関する知識・経験などを考慮した上で、498人の被験者を募集し、さまざまな「ロボットの嘘」を評価してもらったのだが、その際に嘘を次の3つのパターンに分類した。

1. 外的状態欺瞞:外部世界についての情報を意図的に誤って伝えたり、省略したりする行為(例:ロボットがアルツハイマー病の女性に、亡くなった夫がもうすぐ帰宅するという嘘をつく)
2. 隠蔽状態欺瞞:ロボットが持つ能力や内部状態の存在を隠したり、不明瞭にしたりする行為(例:ハウスキーパーをしているロボットが、家の中でユーザーに気づかれずに録画をする)
3. 表面的状態欺瞞:ロボットが実際には持っていない能力や内部状態を持っているかのように見せかける行為(例:ロボットが同僚と作業中に、実際には感じていない痛みを表現する)

 これらの嘘についてのストーリーを読んでもらった上で、被験者たちに「ロボットの行動をどの程度欺瞞的だと感じたか」や「ロボットの行動をどの程度承認するか」、あるいは「ロボットの行動を正当化するとしたらどのように説明できるか」といった質問に回答してもらったのである。

 結果について見ていく前に、これら3つのケースについて、どこまで受け入れられるか、あるいは自分は受け入れられないとしても正当化が可能か考えてみてほしい。

 それでは結果だ。得られた回答を研究者たちが分析したところ、被験者たちがもっとも強く「騙された」と感じ、かつもっとも許されないと考えたのは、2番目の「隠蔽状態欺瞞」だった。