3.監視レーダーやレーダー搭載艦攻撃に使用

 スパイ機が取得したレーダー電子情報は、兵器の種類や特定個別番号(例えば艦番号)を特定するのが目的であると前述した。

 そのほかにも重要な狙いがある。それは、対レーダーミサイル攻撃だ。

 対レーダーミサイルは、射撃目標に信号がなければ、自らレーダーに向かって飛翔していくものではない。

 攻撃時には、空軍の監視レーダーか海軍艦艇の監視レーダーか、あるいは防空ミサイル用レーダーの信号なのかを特定できていなければならない。

 地上や海上には、レーダー信号を出すありとあらゆる兵器があるからである。

 その中から、戦闘機のレーダーが照射される信号を識別して、対レーダーミサイルは特定のレーダー信号を出す兵器に向かって行く。

 その具体的な要領は以下の順序である。

①敵の監視レーダー(空母の場合もある)が、レーダー波を放出する。
②戦闘機がそのレーダー信号を受信する。
③戦闘機は、そのレーダー信号にロックオンする。
④戦闘機は、ロックオンしたレーダーに対レーダーミサイルを発射する。
⑤対レーダーミサイルが、レーダーの放出源に向かって飛翔する。
⑥対レーダーミサイルが、目標に命中して、破壊する。

図3 中国戦闘機による対レーダーミサイル攻撃(イメージ)

 日米の艦艇については、これまで収集し、解析したレーダーの電子信号をもとに、エリント衛星を使って艦艇の位置を特定することになる。

 そして、日米の艦艇、特に米国の空母がレーダー信号を出し続けていれば、その未来位置を予測して対艦弾道ミサイルを発射し、空母に命中するという仕組みである。

図4 空母のレーダー信号をエリント衛星が受信して攻撃(イメージ)