2.スパイ機Y-9による電子情報取得の方法

 中国のスパイ機Y-9は日本の九州に向かってきた。

 そこで、日本と米国の各種兵器はレーダーを作動させ、電子信号を放出してその機を監視し、追随したと考えられる。

 なぜなら、その機が日本に侵入し攻撃行動を取った場合に、撃墜する必要があるからだ。

 今回の場合、航空自衛隊の監視レーダー、防空ミサイルの捜索レーダー、戦闘機の捜索レーダー、日米軍艦の防空レーダーが、図1のように活動したものと考えられる。

 監視レーダーは、300キロを超える探知能力、戦闘機は約150キロの探知能力がある。

 Y-9に捜索レーダー波(射撃用レーダー波ではない)を照射するはずである。

 つまり、中国のY-9は、各種レーダー波を照射された。

図1 侵入するY-9が電子情報を収集するイメージ

出典:各種情報をもとに筆者作成(図は、以下同じ)

 Y-9は、エリント情報とシギント情報の両方を収集する能力を保有しているので、その情報を受信し録音する。

 そして、そのデータを持ち帰り、解析専門の機関に提供する。

 解析機関は信号を詳細に分析し、それぞれの信号はどの種類の戦闘機、軍艦、監視レーダーなのかを特定する。

 例えば、電子信号であれば、戦闘機の「F-15」「F-16」「F-35」のどれなのか、イージス艦なのか空母なのかを特定できるようにする。

 海上であれば、商船を含めた各種艦船が航海中に電波を放出しているので、その中から空母やその他軍艦の電子信号を分離しなければならない。

 それができなければ、軍艦を対レーダーミサイルで攻撃することはできない。

 空母は、レーダー信号を放出することが少ないため、エリント衛星で入手した信号とY-9から入手した信号と照合することになろう。

 中国軍は今、最も知りたい米空母の位置を知るために、空母のレーダー信号を特定することに努力を集中している。

 以前、中国が米本土にバルーンを飛行させたことがあったが、そのバルーンも、米艦艇のレーダー信号情報を取るために、軍艦の上空を飛行させたものだと思っていたが、その意図がバレてしまったため、今はできなくなったと推定している。

図2 米空母などのレーダー信号を取得する要領(イメージ)