在日米軍に作戦指揮権、自衛隊と作戦・運用の「一体化」も

 日米の2プラス2は2023年1月のワシントン開催以来1年半ぶりでしたが、今回の合意は今後の日米同盟を一新していくものになりそうです。合意の柱は、在日米軍を再編して新たに「統合軍司令部」をつくるというもの。これは単なる衣替えではありません。

 在日米軍の作戦指揮権は現在、ハワイに本拠を置くインド太平洋軍が持っています。米軍横田基地(東京都福生市など)に置かれている在日米軍司令部は基地の管理権限などを持っていますが、作戦指揮権はありません。新たにできる統合軍司令部は、インド太平洋軍の権限の一部を切り離し、在日米軍に作戦指揮権を与えるというものです。

 一方、日本の自衛隊は2024年度のうちに、新たに「統合作戦司令部」を240人体制で東京・市ヶ谷に新設することになっています。この新組織は、陸海空の自衛隊を統一的に運用するための組織で、平時から陸海空の統合訓練などを実施。さらに米軍司令部との情報共有や作戦・運用の一体化も想定されています。

沖縄県の米空軍嘉手納基地から離陸する米空軍のF15C戦闘機(写真:共同通信社)

 つまり、米軍の統合軍司令部と自衛隊の統合作戦司令部が緊密な連携を図ることによって、米軍と自衛隊がさらに一体化していくものとみられます。こうした新しい日米の軍事協力について、野党などは「米軍と自衛隊には圧倒的な力の差がある。自衛隊は事実上、米軍の指揮下に組み込まれ、緊急事態の際には米軍の下部組織として行動させられるのではないか」との懸念を示しています。

 木原防衛大臣らはこうした見方を否定していますが、平時から双方の統合司令部が緊密に協力する姿は日米同盟の歴史的な転換点であることに間違いはありません。