さらなる「国保有」は時間の問題、そして相場上昇へ
国の立場からもビットコインをデジタルゴールドとして評価する人がいる。ドナルド・トランプ共和党大統領候補だ。
トランプ氏は、2024年7月に開かれたビットコイン・カンファレンスに登壇し、ビットコインを金になぞらえ、米国が世界最大のビットコイン保有国になるべきであると主張した。
その中で、米国が現在保有する約21万のビットコイン、さらには今後取得するビットコインを国の外貨準備金として保有する可能性について言及した。
World Gold Councilの統計データによれば、米国は約8000トンもの金を保有し、世界最大の金の保有国となっている。また、国の外貨準備金に占める金の割合で見ても、米国は約70%を超えて世界最大である。
このように米国は金本位制時代の名残もあって国として大量の金を保有し続けている。そのため、ビットコインを金に類似するデジタルゴールドとして捉えた時には、将来的に米国が外貨準備金の一部としてビットコインを保有することは十分に考えられる。
また、2008年のリーマンショック以降、米国以外の国は米ドル依存のリスクを認識し、外貨準備金を多様化する手段の一つとして金の保有を増やしてきた。
2020年には新型コロナウイルスが発生し、個人や企業だけでなく国にとってもパンデミックに伴う経済危機やインフレに対策することが急務となり、中国やインドなど新興国を中心に各国中央銀行による金の購入が急増している。
さらに2022年にロシアウクライナ戦争が勃発した時は、米国による経済制裁が注目を集め、それを回避する目的で金を保有する国もある。
このような流れに沿えば、世界の中央銀行がビットコインを保有する日が来るというのが現実的であることがわかるだろう。
エルサルバドルや中央アフリカ共和国のように、小国ではすでにビットコインを保有する事例もある。今年の米国大統領選挙でトランプ氏が当選するかはまだわからないが、もし世界最大の経済国である米国が国としてビットコインを保有し始めたら、同様の動きが他国にも一気に広がる可能性がある。
そうなればビットコインの価格も現在の水準からさらに上昇するだろう。
いずれにしても、個人と企業に続いて、国がビットコインを保有するのは時間の問題だと思われる。そのことを踏まえれば、ビットコインはまだまだ時価総額を伸ばすことが期待できる。
そのため、日経平均株価の暴落時のように目先の値動きに振り回されることなく、中長期的な目線で投資することがやはり重要である。
※本稿は筆者個人の見解です。実際の投資に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。