“デジタルゴールド”としてのビットコイン

 日経平均株価の大暴落に伴ってビットコインも急落した。その後は大きく反発したが、金に比べると戻りは弱くなっている。

ビットコイン/米ドル相場の推移(TradingViewサイトより)ビットコイン/米ドル相場の推移(TradingViewサイトより)
拡大画像表示

 ビットコインは多くの投資家にとってリスクの大きいもの、すなわち「暗号資産」として見られているため、市場がリスクオフに傾いた際には真っ先に売られる傾向がある。下落局面において、投資家は一般的にリスク度の高いものから手放すからだ。

 それゆえビットコインは株式の先行指標として見られることもある。直近、ビットコインの回復が遅れているのは、米国政府によるビットコインの売り懸念など個別要因も影響しているが、市場がまだリスク回避的であることを示しているのかもしれない。

 一方で、ビットコインは、経済危機や地政学リスクが意識されるタイミングでは、金と同様に無国籍資産として買われる傾向がある。ビットコインは国や金融システムとは独立して分散的に管理されている。

 また、発行ルールがプログラムで規定されており、最大供給量が2100万枚と限られている。このような金に類似した性質を持つことから、ブラックロックのCEOをはじめ、金融関係者の間でもビットコインをデジタルゴールドとして評価する見方が増えている。

 実際に新型コロナウイルスの時には、この両方の性質によって、ビットコインはリスク資産として大暴落した後、すぐに金と並んで大きく値上がりした。

 現在も米国のリセッションや中東情勢の悪化が懸念されており、これらのリスクが顕在化した際にはビットコインの短期的な売りが強まる恐れはある。

 しかし、国や経済に対する不安が広がることでビットコインへの注目が集まり、金と同様に逃避的な買いが強まることは考えられるだろう。