その純一郎が態度を軟化させたということであれば、いよいよ進次郎は総裁選に向けて本格始動するのではないか。そんな見方が政界には広がっている。
しかし、当の進次郎は表向き政局的な動きを控え、地元回りに精力的だ。
進次郎「中小企業が世界展開という時代に入ってきているので、そのための課題をわれわれ政治が受け止めて解決していくこと。このことが幅広く中小企業の皆さんにとって前向きな政策になると思う」(7月29日)
他の神奈川選出議員と共に、国際競争力のある中小企業を視察したほか、選挙区のある横須賀を中心とした三浦半島の幹線道路の充実を求める会合に出席するなど、永田町の動きとは一線を画している様にも受け取れる。
しかし、進次郎と定期的に連絡を取り合っている関係者はこう断言する。
関係者「進次郎さんはおそらく(総裁選に)出ると思う。いまはそのための環境整備を行いたくて目立った動きを控えているのではないか」
「世代交代」を目指し動き出す若手議員たち
次の総裁選挙は自民党と所属議員にとっては運命を左右するものになるだろう。 岸田の評判が決定的に悪いだけでなく、去年秋に表面化した安倍派などの裏金問題で自民党そのもののイメージが地に落ちた。最近も、過去5年間で2000万円以上の裏金を受け取っていた堀井学衆院議員の公職選挙違反事件や、公設秘書給与の詐取疑惑で強制捜査を受けた広瀬めぐみ参院議員の事件が次々に表面化して、“カネに汚い自民党”のイメージはさらに強まっている。
自民党若手議員「総裁選で刷新感を出さなければ党は本当に終わってしまう」こうした声は党内で確実に広がってきている。
つまり岸田はもちろん「ノー」だが、この際、茂木敏充幹事長(68)や石破などのベテランではなく、「世代交代」の名の下に一気に総裁や幹部らの若返りを図るべきだという動きが、水面下で始まっている。
ある自民党関係者は、現状に危機感を持つ若手が幾つかのグループになって総裁候補の擁立に動き出したと話す。そうした候補の1人となっているのが進次郎だというのだ。
進次郎当人も少人数の若手議員らと接触をはかり始めた。周囲には「決断するときは自分1人で決める」と漏らすなど、明らかに総裁選に向けてハラは固めつつあると見て良い状況だ。
もし進次郎が立つとなれば、これまで後見人的な立場であった菅義偉前総理(75)は支持に回るだろうし、「菅グループ」と呼ばれる議員らも大方は支持するだろう。知名度もあり、バックアップ体制も強固となれば、進次郎の総裁就任も現実味を帯びることになる。
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