(国際ジャーナリスト・木村正人)
「約100平方キロメートルを占領」
[ロンドン発]8月6日早朝からウクライナと国境を接するロシア西部クルスク州にウクライナ軍が侵攻した。
米シンクタンク、戦争研究所(ISW)の評価(8月8日)によると、ウクライナ軍の機械化部隊は前進を続けており、国境から35キロメートルも押し入った。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問は米紙ワシントン・ポストに「ウクライナ軍は約100平方キロメートルを占領した」と証言。しかし裏付けは取れておらず、ISWはウクライナ軍が前進したすべての地域を支配しているわけではないと現実的な評価を下している。
クルスク州国境地帯のロシア軍の守りが手薄だったため、ウクライナ軍は前線を突破して奇襲攻撃を実行できた。しかし「クレムリンはウクライナ軍が一時的に占領したクルスク州の地域を奪還し、ウクライナのロシア国内での活動を阻止しようとするだろう」(ISW)という。
昨年5月と今年3月、反プーチン武装勢力がウクライナ側から露南西部ベルゴロド州を越境攻撃したが、ウクライナ軍の地上部隊による越境攻撃は初めてだ。反プーチン武装勢力の越境攻撃に迅速に対応できると説明してきたウラジーミル・プーチン露大統領の面子は丸潰れだ。