(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)
逆転劇で銅メダルを獲得した「中年男4人衆」
パリ五輪の前半戦、14歳、15歳というミドルティーンの日本の少女たちが躍動し、金メダルを獲得する姿を見ることは明るい未来を感じさせて喜ばしいことではありますが、年配者としては新しい種目になじめないこともあって、今ひとつ感動を共有できないさみしさもあります。
私にとって孫のような世代の若者の活躍以上に快哉を叫びたいのが、総合馬術団体のメダル獲得です。金色ではありませんが、若者たちに負けず、逆転劇で銅メダルを獲得した「中年男4人衆」に大きな拍手を送りたいですね。
さて、この馬術競技ですが、本場は欧州ということもあって、通常、日本国内で国際競技が開催されることも稀なら、国内大会がテレビ放映されることも稀です。国内競技人口が1万人にも満たない現状では仕方がないのかもしれませんが、その結果、競技の内容について熟知している人も少なく、メダル獲得だけに目が向きがちなのは少し寂しく思えます。
本場欧州で大人気、歴史ある馬術競技
動物との共同作業という点で馬術競技は近代五種競技とともに異色の競技ですが、五輪における歴史は古く、大正元年(1912)のストックホルム大会から現在とほぼ同様の競技スタイルで実施されています。英仏独を中心とした本場での人気が高いのもそれだけの歴史があるからでしょう。
次の五輪の活躍へとつなげるためにもここは競技について少し深掘りし、馬術競技にも関心を抱いていただくことにいたしましょう。馬券だけを目的にしている競馬ファンならともかく、馬のことも愛する競馬ファンならきっと馬術競技も好きになってくれることでしょう。
欧州では馬術大会がゴールデンタイムに放送されるほど人気が定着しているようですが、わが国では競馬以外に馬の映像を見るのはテレビ時代劇か昔の米国製西部劇くらいなので、馬術競技が定着するというのにはまだまだ時間がかかりそうです。
また、日本国内では競技大会があってもマスコミ報道はほとんどありません。「初老ジャパン」のメンバーが活動の足場を欧州に置いているのは仕方のないことかもしれません。それだけに長きにわたる彼らの地道な努力には頭が下がります。
この銅メダル獲得によって、馬術競技に対する世間の認知度と評価がいっそう高まり、競技人口が増していくことを祈ります。