団体馬術、メダルへの道のり

 さて、馬術競技には個人戦と団体戦があります。個人総合(馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術)と団体総合(同)、そして個人種目別(同じ3種目を日にちを変えて実施)に分かれて競います。体操競技のスタイルと似ています。

 3種類の競技を馬に行なわせることから「馬のトライアスロン」とも称されているようです。

 今回、日本が銅メダルを獲得したのは、そのうちの団体総合で、3人ずつが3種目に出場し得点を競い合いました(減点の少ないほうが上位となる減点制です)。

 1日目の「馬場馬術」では調教による「正確さと美しさ」を競い、2日目の「クロスカントリー」では耐久性を示し、3日目の「障害馬術」では余力の中でいかに減点を少なくしてハードルを飛越するか、その頑張り次第でメダルへの道が開けることになります。

 日本チームは2日目のクロスカントリーで頑張った北島隆三選手の愛馬「セカティンカJRA」号がレース後の馬体チェック(ホース・インスペクション)で翌日の競技出場不適による出場保留(ホールディング)と判断され、田中利幸選手&愛馬「ジェファーソンJRA」号とメンバーチェンジを余儀なくされます。

 人馬の交代にはペナルティーとして20点減点され、これによって日本チームはメダル圏内の3位から5位へと後退することになりましたが、3日目の最終競技「障害馬術」のひとり目として田中選手が出場し、メダルへの弾みをつける活躍をしてくれました。

 なお、馬名のうしろに「JRA」と明記されているのは、JRA(日本中央競馬会)が海外から購入し、選手や所属している乗馬クラブ等に提供しているということでしょう。

 競馬と馬術との連携がメダル獲得という相乗効果をもたらせば、情けは人のためならず、ということで競馬界もさらに評価されることになりそうです。

 また、馬券収支がマイナスの競馬ファンは、銅メダル獲得に自分が貢献していると思えば少しは気が晴れる、ことはなさそうですが、応援する価値は十分にあるでしょう。

(編集協力:春燈社 小西眞由美)