決定のための環境づくりで会議のムダを省く
ではムダがなく、効果的な会議というのはどのような特徴があるのか?
菊池氏によれば「会議中および会議後にメモなどを使って議論内容を可視化すること」に加え、「物事を決定する場として開かれていること」が必要だという。
主催者が意志や仮説を持って会議を主催して初めて、意見修正ができます。それを議論する時にどんなメンバーが必要なのかを決定しやすくなり、不要な人まで呼ぶ必要はなくなります。
決めようとするから、アジェンダや資料、議論の流れの把握が大事になってくる。議論を積み重ねていこう、深掘りしていこう、蓄積して後戻りしないようにしよう、というスタンスになり、眼前可視化する必要性が出てくるわけです。
ここで出てきた「眼前可視化」とは、会議や商談時にリアルタイムに目の前で議事録を書き、「議論を可視化しながら会議を進行する」というノウハウを指す菊池氏の造語。目的の明確化、準備、参加者選び、内容の可視化などによって議論に適した環境をつくることで、はじめて会議を開く意味が生まれる。
リアルタイムでメモをとり、スピーディに共有
議論した内容を目に見える形で表す際の具体的なテクニックとして菊池氏がまず挙げるのは、会議の参加者全員が見える場所にリアルタイムでメモしていく方法である。
ディスカッションの内容をすぐに共有できるため、「今何について話しているのか」「過去にどんな話題が出たのか」をつかみやすくなる。同じ話題を繰り返すことも防げるので、ムダな時間も省ける。
さらに、会議後に共有する議事録はなるべく早く作成し送付することが大事だという。内部的に扱うだけのものであれば、言葉遣いや形式が多少粗くても問題はない。外部に共有する場合も“議事録”ではなくあえて“メモ”としてまとめ、スピード感のある情報共有を重視したほうが効率良くビジネスを進められる。
なお議論を可視化する際は、発言内容をありのままメモすることが重要だ。聞き逃したことは再度話してもらうよう尋ねたり、メモ内容に修正点がないか定期的に確認したりすることも効果的。もちろんタッチタイピングスキル、頻出単語や専門用語を辞書登録しておくことなど、基礎的な準備も必須である。