日本も無人機・自律型兵器システムの導入を

 米国は、核戦力から通常戦力に至るまで、世界最強の軍事大国である。

 その米国でさえ、世界のあらゆる紛争への対応を求められることから、ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争を教訓に、無人機システムとAI(人工知能)に代表される「非対称戦」を考慮せざるを得ない新たな戦いの時代を迎えている。

 米国の「地獄絵図」戦略は、中国軍に対抗するため、2023年8月にキャスリーン・ヒックス国防副長官によって発表された「レプリケーター(Replicator)」構想に基づくものである。

 ヒックス副長官は、「中国の最大の利点は数だ。兵士、艦船、ミサイルの数で勝っている。レプリケーター構想は、その利点を打ち負かすための計画だ」と述べ、無人機とAIを組合わせた拡張可能な自律型兵器システムを開発し、本格的に配備して中国軍の数に対抗する方針を明らかにした。

 そして、同副長官は、ウクライナが自ら開発した無人機を使ってロシア軍の進攻を阻止することに成功したことに言及し、「小型で、精密で、安価で、大量に、生産できるシステム」の重要性について述べた。

 また、INDOPACOMには作戦・戦闘上のニーズを求めるとともに、国防総省、起業家、スタートアップ企業、民間技術会社を結ぶインターフェースの役割に触れ、そのネットワーキングを通じた軍事利用可能な先端的民間技術や人材の獲得についても高い関心を示した。

 本構想を実現するプログラムは、毎年5億ドルの支出を見込んで、18~24か月以内に大量の安価なドローンを迅速に開発し実戦配備する意欲的な取り組みである。

 他方、わが国では、少子高齢化や経済の影響などによって、自衛官の採用目標を達成できていないという難しい現実もある。

 防衛省によると、陸・海・空自衛官の充足率は2023年3月末時点で92%程度と定員のおよそ24万7000人を2万人ほど下回っている。

 このことも踏まえる必要があり、宇宙、サイバー、電磁波など新たな領域の機能強化やインド太平洋地域における役割の増大などを考えれば、無人機や人工知能などを活用した一段の省人化・効率化が求められるところである。

 そのため、わが国も米国防省の「レプリケーター」構想を参考に、民間企業と連携して革新的技術を迅速かつ積極的に導入し、「小型で、精密で、安価で、大量に、生産できる無人機・自律型兵器システム」を開発・装備する体制を整えることは喫緊の課題である。

 その上で、INDOPACOMの「地獄絵図」戦略に倣い、陸・海・空のあらゆる空間に無人機・自律型兵器システムを配備して、中国の最大の強みである量的優位性を克服する非対称戦を追求することは、日本防衛にとっても避けては通れない戦略的優先事項に違いない。