中国の台湾武力統一に赤信号

 中国の軍事侵攻に直面する台湾は、米国の「地獄絵図」戦略を踏まえ、共同歩調をとる構えである。

 前述の通り、米国防省の国防安全保障協力庁(DSCA)は6月18日、台湾関係法に基づく措置として、台湾に小型の武装無人機計1000機以上を売却することを承認したと発表した。

 DSCAによると、台湾には自爆型無人機の「スイッチブレード」720機と付属システム、そして小型無人機「アルティウス600M」291機と付属部品が売却され、総額は約3億6000万ドル(約570億円)規模となる。

 米政府は無人機の売却に関し、「現在、未来の脅威への対処能力を向上させる」と説明し、無人機及び関連装備品の売却とともに、運用訓練なども支援する。

 台湾の防衛戦略は、中国軍との大きな軍事力格差を克服するため、「非対称戦」を掲げて防衛力を高めようとしている。

 そのため台湾は、対艦・対空ミサイルの強化や無人機の独自開発にも取組んでおり、米国の小型武装無人機売却の発表を受け、国防部は6月19日、多種多様な精密打撃ミサイルと組み合わせ、多重の抑止力を構築する方針を改めて示した。

 また、今回、米国側が売却を承認したものは、偵察能力や即時性のある打撃力を備えていると説明し、敵の脅威に迅速に対処できると評価している。

 中国が台湾を軍事占領し支配するには、少なくとも台湾軍の初動対処兵力(約40数万人)の3ないし5倍の兵力、すなわち約130万人から220万人規模の兵力が必要であるというのが筆者の見積もりである。

 その侵攻手段は、空挺・ヘリボン攻撃もあるが、強襲揚陸艦(~上陸用舟艇)による大規模な水陸両用作戦や軍・民輸送船による港湾への達着がその主体となろう。

 ウクライナの対艦ミサイルと高速無人水上艇がロシアの黒海艦隊を無力化したように、米台が共同で展開する「地獄絵図」戦略によって強襲揚陸艦や上陸用舟艇、軍・民輸送船が攻撃を受けやすくなり、ことごとく台湾海峡の藻屑と消える可能性のある状況では、中国軍の台湾侵攻に危険な赤信号が点滅するのは避けられない。

 つまり、米台が連携を強める「地獄絵図」戦略によって、中国の台湾侵攻は阻止される可能性が高くなっており、台湾の武力統一を放棄しない中国にとって、現在の軍事能力や台湾侵攻計画の深刻な見直しを迫られているといっても過言ではないのである。