ニコニコのブランドは、当初、7月末までサービスが再開できないと発表されていたが、KADOKAWA側の提供するニコニコチャンネルプラスが先に6月28日からサービスを再開することになった。この差こそが、両プラットフォームの状況を物語っている。

何らかの思惑が絡んだリークか

 さらに、同じ関係者によれば、NewsPicksの記事について、「ドワンゴ側のことをよく思っていない旧KADOKAWA側の関係者がランサムウェアへの対応について暴露したのではないか」という憶測まで出ているという。仮にそのようなそんな思惑がグループ内に渦巻いているのだとしたら、今回の記事は社内政治的の片棒を担いでいることにもなりかねない。

 高度な技術を持つサイバー犯罪集団に狙われたら、ダメージの軽重はあるにせよ、被害から完全に逃れることは極めて難しい。つまり今回のニコニコへのサイバー攻撃は、どの企業・組織においても起こり得る事態である。それだけに報道の在り方も問われている。

 もちろん被害の存在・事実を知らしめ、社会に警鐘を鳴らすというのも大切な報道の機能だ。被害に遭った事実を企業が隠し続けることは、株主や従業員、その他のステークホルダーへの裏切りにもなる。だが、リアルタイム的に犯人との交渉内容を第三者が暴露するケースとなると、また話は違ってくる。一概に答えを出すことは難しいが、そこには極めて慎重な判断と、報道するに値する大義が求められるのではないか。これは、現代社会がこれから考えていかなければならない大きな課題と言える。

 とにかく今は、多くのファンがいるニコニコのブランド全体が、1日も早く復旧することを願うばかりだ。