KADOKAWA側にも脇の甘さ

 気になるのは、今回のKADOKAWAの対応が暴露された背景には、社内の主導権争いが絡んでいるのでは、との声が聞こえてくることだ。

 というのも、ニコニコのブランドは一枚岩ではない。ニコニコ動画は長くドワンゴが運営して育ててきたサービスだが、2014年のKADOKAWAとドワンゴの経営統合により、ニコニコもKADOKAWAグループ内の一事業となった。その立ち位置が経営統合から日が経つにつれ変わってきていた。

 ニコニコのブランドも、ドワンゴが提供してきた従来の「ニコニコ動画」のプラットフォームと、KADOKAWAとの経営統合後の2022年から新たに始めた「ニコニコチャンネルプラス」のプラットフォームの2つが存在するようになった。

 そして、その両サービスは提供するコンテンツをめぐってしのぎを削っている。実は、ドワンゴのニコニコ動画のほうはそのインフラが長年の蓄積でかなり多くのシステムが入り混じるほど混乱しており、画質などクオリティのアップデートが困難な状況になっていた。一方でニコニコチャンネルプラスは、ハイクオリティの画像を提供するなど最新のプラットフォームとしてコンテンツを提供している。

 そんな内部事情があり、今回のランサムウェア攻撃では、アップデートできないほど入り組んだシステムになっているドワンゴ側のニコニコ動画が大きな被害を受けた。KADOKAWAグループの関係者は、「おそらく、数多くのシステムが絡んでいるために、そこにセキュリティの隙ができランサムウェア攻撃を受けた可能性もある」と指摘する。