小池氏“バラマキ的” 子育て対策の継続か

 これはまさに「小池劇場」の真骨頂を表したものといってよい。

 その発表形式も、前回2020年のコロナ禍での都知事選を思い起こさせるものであった。これはデジタル技術を体現した「リモートデモクラシー」といわれる、選挙の新しい技術であるリモート形式・オンラインによる発表をとっていた。

 今回、「AIゆりこ」の登場まで進化した「小池劇場」の中で、練りに練られた政策が舞台上のセリフのように発表される。また、そのスタイルはコロナ禍を小池都知事が乗り切ったということを思わせるものであった。

 これらの政策の提示には、今後どういうリーダー像を目指すのか、ということを提示することともつながるものである。小池氏はここで「もっと!よくなる!『東京大改革3.0』」というキャッチフレーズで政策を公表した。

オンラインで記者会見し、知事選公約を発表する東京都の小池百合子知事=6月18日午前、都庁(写真:共同通信社)オンラインで記者会見し、知事選公約を発表する東京都の小池百合子知事=6月18日午前、都庁(写真:共同通信社)
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 そこにおいて提示されたものは「3つの『シティ』をめざす都市像」であった。

 3つの「シティ」とは、第一に、「セーフシティ」であり、これは小池氏が女性初の防衛大臣を務めたことを想起させる首都防衛や無電柱化、ミサイル到来へのシェルター整備などを挙げ、第二に、「ダイバーシティ」であり、出産・子育てにおカネのかからない町、女性・高齢者への支援、つまり無痛分娩費用の助成制度創設や、保育料無償化の第一子までの拡大などを述べ、第三に、「スマートシティ」として、脱炭素・防犯・暑さ対策・中小企業の賃上げ、行政手続きのデジタル化、防犯カメラの設置拡大・防犯機器の助成、TOKYOスーパーアプリの開発などを提起した。

 これらは、これまで小池氏が都知事として行ってきたことをさらにバージョンアップし、拡充するものといえる。

 具体的には保育料無償化の拡大を柱としながら、無痛分娩、保育料の無償化、家賃、大学給付金制度、学童保育の待機児童解消を打ち出した。グローバル人材の育成、多様な学び、海外へはばたくような学び、インクルーシブ教育の提起なども盛り込み、バージョンアップされた「子育て対策」といえる。

 しかしそれらは、必要な政策ではあるが、都財政が潤沢なことによるバラマキによる「子育て対策」に代表されるような政策が継続される可能性も否めないところはあるだろう。