中学受験の「リターン」は減る一方

西田亮介:極めて虚しいですね。現実にはすごく勝つ人とか大きなリターンを得る人の数(≒トップ校の定員数)は、あまり昔と変わっていないわけですよね。だから投資の非効率性は高まっているという考えでいいですか。

【西田亮介(にしだ・りょうすけ)】
日本大学危機管理学部教授/東京工業大学特任教授。博士(政策・メディア)。専門は社会学。
1983年京都生まれ。著書に『メディアと自民党』(角川新書、2016年度社会情報学会優秀文献賞)、『コロナ危機の社会学』(朝日新聞出版)、『ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください 17歳からの民主主義とメディアの授業』(日本実業出版社)ほか多数。

安田:間違いないと思います。
西田:コスト&ベネフィットで考えたら、1つの世帯が投入するコストは少子化と塾産業の生存戦略もあって、どんどん高くなっていますよね。

 しかも、競争が激しくなれば当然コストは高くなるのですが、リターンは減っています。

 なぜかというと、やっぱり中高一貫の名門校とか難関校に入る一番のメリットは、大学受験をするときにいい大学に入りやすい、そこに尽きるでしょう。

日本の未来、本当に大丈夫なんですか会議 経済学×社会学で社会課題を解決する』(西田 亮介・安田 洋祐著、日本実業出版社)
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 名門中学に入ればみんな当たり前のように有名大学に進学しますし、合格率も高い。中高のなかでもちょっと先取りした授業をしてくれるかもしれない。一番差が出るのが国内のいい大学に入りやすくなるということです。

 しかし、現実にはその価値がどんどん下がっています。