この報道に対し、日本政府は事実確認を拒否した。林芳正官房長官は記者ブリーフィングで関連質問が出ると「事柄の性質上、答えは差し控える」としながらも、「(日朝)首脳会談を実現するために総理直轄のハイレベル協議を推進する考えに変わりはない」と強調した。

 韓国外交部も記者たちの関連質問に対して「確認できない」と答えた。ただ、「韓国政府は日本と北朝鮮間の接触を含め、北朝鮮の核問題、北朝鮮問題と関連して日本側と緊密に疎通している」とし、「日本と北朝鮮間の接触は北朝鮮の非核化と韓半島平和・安定に役立つ方向で行われなければならない」という立場を再度確認した。

 通常、「事実確認拒否」とは消極的な肯定として受け入れられる。よって中央日報の記事は事実である可能性が高いというのが筆者の判断だ。

韓国は「蚊帳の外」だった可能性

 これについて、知人の北朝鮮専門記者は次のように分析する。

「記事で引用された消息筋は(韓国)外交部などの情報当局だろう。情報当局が北朝鮮側のある種の動きを捉えられたが確信がない場合、いったんメディアに流して後続の動きを見守る場合がよくある」

 つまり、「韓国政府が意図的に情報を流して事実かどうかを確認したのかもしれない」という見解で、「日朝接触について韓国政府は知らなかった」ということになるだろう。

 これまで韓国外交部は「日朝交渉は韓国との事前調整が必要だ」という立場を堅持してきた。23年9月、日本の『朝日新聞』が、「北朝鮮と日本の関係者が日朝首脳会談開催のために今年(23年)春、2度にわたり東南アジアで秘密裏に接触した」と報道した当時、朴振(パク・ジン)外交部長官は国会で関連質問に対して次のように答えている。

「日本と北朝鮮が疎通し、外交的な対話を通じて韓半島の平和と安定に寄与できれば望ましいと思っている。ただ、その過程で(日本は)韓国とも緊密に疎通することが必要だ」