王滬寧氏とパイプ

 今回新たに“失踪”状態にあることが判明した范氏は、亜細亜大の広報担当者らによると、上海復旦大から日本の京都大学大学院に留学し、法学博士を取得。大阪国際大、龍谷大で非常勤講師を務めた後、中国弁護士として東京の法律事務所にも所属したことも。上海交通大助教授、上海市外国貿易大客員教授などを経て2006年4月より亜大で現職。

 亜細亜大によれば、昨年2月に一時帰国した本人と連絡がとれなくなり、日本在住の家族とのやりとりを通じて昨春以降は病気休職扱いとし、担当講義やゼミなどは他の教員による代講に切り替えたという。

 范氏と交流があった日本人研究者らによると、「上海復旦大学で学んだことのある研究者」という共通点から、范氏は中国共産党序列4位で中国人民政治協商会議主席の王滬寧氏ともパイプが太かったとされ、コロナ禍前には、日本の学生を中国に招待する一種のプロパガンダ企画を展開していたこともあるという。

 この時、范氏から複数の日本人研究者に対して、「教えている学生らに参加をうながしてほしい」との依頼がなされていたというが、「政治色が強すぎる」として断られる場面もあったという。