なぜここに駅が?
だが、そもそもこの駅は本当に必要なのか? 地図を見る限り、駅を作る必要があるほどの集落や、めぼしい観光地などが見当たらない。2018年の平均乗降客数は1日あたり4人だ。
利用者には不便だし、建設コストもかかるトンネル駅なのに、なぜここにわざわざ作ったのだろうか。
ネットで探した限りでは、ここに駅を作った理由の説明は見当たらなかった。 唯一のヒントが、ほくほく線の歴史を説明するWikipediaのページにあった図だ。
長大なトンネルを多用する実際のルート(赤線)より前に検討されていた「北線案」(緑線)に「津池」という駅候補がある。また、美佐島は開業前に「津池」という仮称だったことが同じページに書かれている。
前出の現在の地図をもう一度見てもらうと、美佐島駅の南東1kmちょっとのところに、津池という地名がある。Googleストリートビューで見ると何軒かの家のある集落だ。現ほくほく線の建設を検討していた時代はもう少し大きな集落だったのかもしれない。その当初の「津池駅」計画が赤倉トンネルを通るルートに変更されてもなぜかそのまま残って、現在の美佐島駅になった、と想像するのだが、どうだろうか。
そろそろ電車が来るので、ホームに戻ろう。
電車が止まり、ちゃんとホーム扉は開いた。よかった。
山岳トンネルの中、地中深くに作られたそのほかの「トンネル駅」については、こちらの記事で紹介している。
なぜ駅をわざわざそこに作った?数少ない「トンネル駅」が地中深くに誕生したふしぎな理由