国民健康保険料は最大7割減額に

 株式投資による収入もあるが、NISA(少額投資非課税制度)や新NISA、源泉徴収ありの特定口座を使っているため申告不要で、所得税や住民税の算出ベースとなる所得に反映されない。

 男性は退職する数年前、既にリタイアしていた学生時代のサークルの先輩から「住民税非課税世帯はおいしいぞ」と耳打ちされた。その後、自治体のウェブサイトなどで詳しく調べてみて、メリットの大きさに驚いたという。

 まず、リタイア後は全額を自分で払わなければならない国民健康保険料や介護保険料が大幅に安くなる。国民健康保険料の減額制度には2割、5割、7割の3段階あるが、住民税非課税世帯の場合、最大の7割に該当するケースも少なくないという。

 病院やクリニックでの医療費の負担も抑えられる。

がん検診や予防接種が無料の自治体も

 公的医療保険では月ごとの自己負担医療費の上限額が設定されており、上限を超えた場合はその分が払い戻される「高額療養費」という制度がある。住民税非課税世帯だと高額療養費の上限額も3万5400円(69歳以下)と低めに設定されていて、手術などで治療費がかかっても、保険適用の治療ならそれ以上の負担は求められない。入院時の食事代の負担も通常の半額以下となる。

 さらに、自治体によっては健康診査やがん検診の自己負担金や予防接種の費用が免除される。

住民税非課税世帯には医療費や健診の支援がある。写真はイメージ(写真:KPG-Payless/Shutterstock.com

 自治体独自の“特典”もある。