(写真:TopPhoto/イメージマート)

日本では、NISA(少額投資非課税制度)の大幅拡充を機に20~30代の若年層による株式や株式投資信託の購入が急増している。お隣の中国でも若年層による“金買い”が活発化しているという。日経平均株価は史上初めて4万円台の大台を突破した。国際金価格も1トロイオンス=2000ドル前後の水準で推移している。いずれも歴史的高値圏の中で勢いを増す若年層の投資ブーム。その背景を探った。

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

新NISA開始でネット証券の口座数は急増

  税制優遇の期間や投資額を大幅に拡充した新NISA(少額投資非課税制度)が出足好調だ。

 日興リサーチセンターの推計によれば、ETF(上場投資信託)を除いた投資信託への資金流入は1月だけで1兆3000億円近くに上った。その99%が、全世界型(オールカントリー)やS&P500連動型など新NISAの対象となっている投信への流入だ。

 新NISA人気で個人の口座開設も拍車がかかっている。ネット証券主要5社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)の合計口座数は1月末までに前月末比で約90万件(3.3%)増えた。新規参入の多くが20~30代の若年層だという。

 証券会社などでセミナーを行う株式投資の専門家は、「数年前までセミナーの参加者は大半がシニア層だった。しかし、2年前くらいから若年層が増え始め、今は半数近くを占めるようになった」と話す。「シニア層では私の推奨銘柄にしか興味がなさそうな人が少なくなかったが、若年層はしっかり理論武装していてプロ並みの質問を投げかけてくる人もいる」

昭和バブル世代と違う今の若年層

 あるファイナンシャルプランナーは、「若年層の間で株式投資熱が高まっている背景には国や年金制度などへの不信感がある」と見ている。「若年層の主たる投資の目的は老後資金の確保や経済的な安定であり、昭和バブルに踊った親世代とは意識が違う」

 隣国の中国でも近年、若年層に投資ブームが起きている。ただし、中国の若年層が買っているのは株式ではない。ゴールド(金)だ。

金への投資意欲が強い中国では若年層も動いている(写真:Costfoto/NurPhoto/共同通信イメージズ)