(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

メルカリやYahoo!オークションなど個人間取引のオンラインサービスが広がったことで、誰もが簡単にさまざまな商品を転売することが可能になった。消費者にとって利便性が高まる一方で、転売が禁止されている商品も出品されるなどしてトラブルも絶えない。なかでもコンサートやライブなどのチケットの転売に関しては、イベント主催者側やチケット販売会社側と転売者側のイタチごっこが長年にわたり繰り広げられてきた。だが、ここにきて新技術などを使って対策が強化されている。どのような取り組みがなされているのか。

(杉原健治:フリーライター)

主催者側の毅然とした対応にファン絶賛

 独自の転売対策が講じられ話題となったイベントがある。2024年2月に行われた『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』だ。

「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」のウェブサイトより

 同イベントは、お笑いコンビ・オードリーがパーソナリティを務めるニッポン放送のラジオ番組から派生した企画。チケットは全席指定でアリーナ席1万2000円、スタンド席1万円など複数の種類が用意されていた。

 人気芸人オードリーが出演する番組の大型イベントとあって、やはりネット上ではチケットの転売も横行したようだ。こうした状況に対し主催者側は、転売されているチケットを調査し、一部の購入者を特定。転売サイトに出品されていたチケットの席番を無効にする処置をとると発表した。

 さらに、転売チケットによる入場を阻止する一方、転売が確認された一部の席については「当日引換券」をイベント開催の数日前からチケット販売サイト『チケットぴあ』を通じて販売した。

 イベント主催者側は、X(旧Twitter)の公式アカウントを通じてチケット転売についての警告文を発表。チケットを興行主の同意なく営利目的で譲渡及び販売した場合は「チケット不正転売禁止法」に触れるとして、不正行為が発覚した場合は警察への通報など「然るべき対応をしております」と注意喚起した。

 一連の対応についてオードリーのファンからは、「すばらしい対応」「こういう動きが広まってほしい」といった声が上がっている。