タッカー・カールソン氏のインタビューに応じるプーチン大統領(2月6日、写真:ロイター/アフロ)

 ロシアがウクライナへの特殊軍事作戦を始めてから丸2年が経過した。

 丸2年――。人命が日毎失われている最中の紛争に節目も何もないのだが、そうは言ってもメディアはそれに合わせた特集を組まざるを得ない。

 ロシア・ウクライナ関連の報道量が久々に中東関連のそれを上回る。

報道が一変したウクライナ戦争

 その報道の流れを概観すれば、ウクライナの意気高らかだった1年前とは様変わりとなり、昨秋から表面化し始めた同国にとって芳しくない状況や材料を一斉に流している感がある。

 戦局は、ウクライナの反転攻勢失敗から膠着状態へ。

 そして、今月に入ってのドネツク州の「要塞」アウディーイウカ(アヴデーフカ)喪失とロシア軍の攻勢開始へと続き、ウクライナ軍は今や攻守所を変えて防衛戦を強いられている。

 兵器が足りず、兵士も足りない。

 この戦局がウクライナ国内にも影を落とし、国民に人気の高かった軍総司令官・V.ザルージヌイが解任され、それやこれやで大統領・V.ゼレンスキーへの支持率は低下傾向に。

 戒厳令下で、議会選も大統領選も先送りとなる一方で、徴兵忌避や国外逃亡が多発とも。国民や兵士の士気は、ロシアに比べてはるかに高いはずではなかったのか・・・。

 米国議会での対ウクライナ援助予算成立の目途はいまだに立たず、国連総会では対ロシア非難決議案の提出すらできずに終わってしまった。

 報道によれば、ロシア・ウクライナとイスラエル・ハマスの2つの紛争に関わる米国の「二重規範」がグローバル・サウス諸国の批判に晒され、それに起因するロシア批判票減少を恐れたから、ということらしい。

 こうした状況に加えて、すでに喧しくなってきた11月の米大統領選の下馬評も、ウクライナにとっては全く歓迎できない雰囲気に傾いている。

 ウクライナの守護神役を演じ、本来なら選挙で本命となるべき現職のJ.バイデン大統領は、記憶力や体力での問題をたびたび露呈してきた。

 それが人々の目につき過ぎて、続投するにはあまりに高齢、とする意見が米国内世論調査で70%近くにも達してしまう。

 返り咲きを狙うD.トランプ前大統領のこれまでの発言や共和党への働き掛けから見て、彼の政権誕生の暁に米国の対ウクライナ支援が継続・拡大されるとはほとんどが思っていない。

 共和党の予備選を破竹の勢いで勝ち進むそのトランプ氏は、老いて支持率を落とすバイデン大統領と対比され、メディアは勝手に「もしトラ」を「ほぼトラ」に発展させてしまう。

 トランプ氏とて多くの裁判沙汰を抱えてその脛の傷は大きく、万全・安泰とはおよそ言えない。そして、しょせんは水物でしかない選挙本番はまだ8か月以上も先の話なのだ。