インバウンドの黒字もかき消す赤字

 財務省が発表した国際収支統計。経常収支は2年ぶりに20兆円台の黒字に復帰したが、みずほ証券チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏によれば、海外に投資したまま戻ってこない資金も多く、キャッシュフローで見れば、2年連続の経常赤字である。中でも、米国の巨大IT企業が提供するプラットフォームサービスによる赤字は大きく、インバウンドの黒字を大きく上回っている。

 かつての日本は国内で製造した製品を輸出することで貿易黒字をため込んでいたが、生産拠点の海外流出が進んだ今では輸出で稼ぐ以上にプラットフォーマーのITサービスによる富の流出が続いている。最近は“デジタル小作人”や“デジタル農奴”という言葉も生まれている。このままの状況が続けば、日本はますます貧しくなると思うがどうだろうか。(作画:田楽庵、文:蛙)

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【田楽庵】
フリーランスイラストレーター/漫画家。
東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業。別名義で週刊少年ジャンプ+(集英社)にて新人賞受賞・掲載歴あり。

【蛙】
編集者/ジャーナリスト
東京都生まれ。大手メディアで記者や編集者を歴任した後、独立。