第4キャリアの楽天、シェアは2.4%

 楽天グループは2020年4月に携帯キャリア事業に本格参入しました。自社回線のネットワークエリアのデータ通信量無制限で月額2980円とNTTドコモなど大手3社に比べ低価格な料金プランであることや、ポイントを軸としたEC・金融など他のサービスとの連携を強みとし「第4のキャリア」として新規参入しました。

 その後、菅義偉前政権下の「官製値下げ」によりNTTドコモやKDDIなど競合も3000円以下のプランを相次ぎ投入したことに対抗し、楽天は2021年4月に1ギガ(ギガは10億)バイト(GB)まで無料で使えるプランを目玉施策として導入。楽天モバイルの自社回線であるMNO(移動体通信事業者)契約者数は2020年末の163万、2021年末には450万と利用者を伸ばしました。

「ゼロ円プラン」は話題を集めたが、収益性を改善するために2022年に廃止した(写真:つのだよしお/アフロ)

 ただ携帯電話基地局の整備などの先行投資が重荷となる状況は続き、2022年5月に0円で利用できるプランの廃止を発表し、同年7月から最低料金980円(税別)の新たなプランに変更しました。ARPU(1契約あたりの月間収入)は改善しましたが、他社の低価格帯プランへ乗り換える利用者が増え、2022年末の契約数は446万と1年前より減少に転じる事態となりました。

 その後、課題となっていた通信品質の改善に向け、2023年4月にKDDIから回線を借りるローミング(相互乗り入れ)で東名阪の繁華街でも回線を利用する新たな契約を締結。同年6月からは、従来と料金は同じでKDDI回線の利用でもデータ利用量の上限をなくした新プランを開始しました。通信品質の改善や価格競争力のあるプランなどが個人だけでなく法人の利用者にも浸透し、2023年9月末のMNO契約数は512万まで回復しました。

 一方、総務省の資料によると携帯電話の契約数における楽天モバイルのシェア(2023年9月末時点)は2.4%にとどまっています。

 2023年10月には携帯キャリア4社のうち楽天には割り当てられていなかった、電波がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」を獲得しました。当初NTTドコモやKDDIなど既存3社が利用する帯域の再割り当てを求めて費用負担などをめぐり各社と対立していましたが、未利用帯域の利用で決着。楽天はこの周波数帯を使ったサービスを2024年中にも始める予定です。「プラチナバンド」の整備を進めて「つながりやすさ」を改善し、データ通信量の増加に繋げていきたい考えです。