自宅内は公開されていないが、庭から書斎の様子を見ることができる。

 昼光が窓ガラスに反射して見づらいが、気持ちのよさそうなリクライニングチェアがあり、その奥に仕事机があるようだ。背後の棚には分厚そうな本がびっしりと詰まっている。そのチェアに座り、本を読んでいる司馬遼太郎の姿が彷彿とされる。

 庭には自筆の歌碑「ふりむけば又咲いている花三千仏三千」が置かれている。

 安藤忠雄氏設計の館内に入る。内部は撮影禁止。

 初版本、自筆原稿、初出紙誌、愛用のメガネ、万年筆、名刺、色鉛筆、ルーペなどが陳列されていて、その一つひとつが興味深い。しかし圧巻はなんといってもその蔵書数だ。地下1階から1階を突き抜けて11メートルの高さまで壁面いっぱいに、おびただしい数の書籍がびっしりと並べ揃えられている。

 立花隆の猫ビルに収蔵されていた蔵書群もすごかった。しかし司馬の蔵書群からは、地名・人名・言語・民族・考古学といった無限の「知」への情熱と意思が込められているようで圧倒される。